10月６日、K-1オフィシャルジム／メルヴィン・マヌーフ＆大山峻護、ダブル公開練習

　ヤバイ。メルヴィン・マヌーフが、マジでヤバイ。この日は、10・9HERO'S横浜アリーナ大会へ向けての公開練習が行なわれたのだが、スパーリング練習の際、マヌーフがパウンド攻撃を仕掛けるとガードをしていたスパーリングパートナーの体から力が抜けていった――。
「失神しているぞ!!」

　関係者が騒然となり、ジムに重い空気が流れ始めた。それでもマヌーフはどこ吹く風。パートナーが担ぎ出されても、軽快なBGMにノリながら練習を続けていた。大会直前にも関わらず、手加減は一切なしのガチンコスパーを披露したマヌーフ。しかも涼しい顔で動き回り、関係者に戦慄のインパクトを残した。

　リング外に担ぎ出されたパートナーはしばらくの間、意識が朦朧としていたようだが、大事には至らなかった。マヌーフの凶暴な拳は、敵だけではなく味方までも噛み砕いてしまうのか。

　なお、この日の公開練習は二部構成となっており、先にマヌーフ、続いて対戦相手である大山が行なった。練習に先立って行なわれた会見の場で、マヌーフは"口撃"でも大山を圧倒。「オレの辞書に敗北の二文字はない」、「人生で一回も負けたことはない」などと、自信満々の発言を連発。「いずれはK-1ヘビー級のベルトも獲る」と、HERO'SとK-1の二冠を狙うという衝撃発言も飛び出した。

　また、対戦相手の大山だけではなく、トーナメントに出場する全選手に対しても闘争心を剥き出しにした。
「オオヤマもアキヤマもボコボコにしてやる。ベルトはオレがオランダに持って帰るから、あいつらには死んでもらう」と、過激なコメントを連発。

　しかし対する大山は、いたって冷静だ。マヌーフのあとに行われた会見では、「自信があります。楽しみです」と、落ち着いた口調で語った大山。昨年から行ってきたメンタルトレーナーとのトレーニングの成果が現れているとも語った。
　マヌーフに関しては、「前回、対戦したときにすごい選手だなと感じました」と、実力は認めている。それでも、「勝つつもりで来るでしょうけど、勝ち名乗りは僕ですよ」と、勝利に対する自信をのぞかせた。さらに優勝にかける思いも告白。「決勝では秋山選手と闘えたらいいですね」と、日本人同士での決勝を思い描いているようだ。

　その決勝への道に立ちはだかるのがマヌーフだ。大山戦でのKO確率を聞かれると、「ボケたことを聞くな。KOしかない。KO！KO！KO！　俺はHERO'SのリングでKOの山を築く！」と、完勝宣言。「読めない、書けない、勉強も出来ない。オレにはファイトしかないんだ」と、格闘技に懸ける気持ちも告白した。

　しかし、気持ちなら大山も負けてはいない。二度の網膜剥離から復活を遂げた精神力は並大抵のものではない。憧れである桜庭和志の欠場に関しては、「すごいモチベーションだったのでショックです。でも、優勝すれば誰にも文句を言われないで、桜庭選手と闘えますからね」と、すでに気持ちは前向き。大会への意気込みを訊かれると、「ついに、ここまで来たという感じですね。支えてくれた人たちに恩返ししたいです。勝つための最大の敵はマヌーフではなく、自分ですから。しっかりコンディション作りをしたいですね」と、ベルト獲りへの準備にも余念がない。

　公開スパーリングでは、打撃から投げ、そのまま寝技へ持ち込む流れるような動作で、キレのある柔道技を披露した大山。念願のベルトを奪取し、憧れの桜庭との対戦に向けて最高の舞台は整ったといえる。だがマヌーフは、とんでもない怪物だ。彼を倒さなければ先には進めない。

　凶暴な拳が大山を粉砕するか、不屈の精神力の前にマヌーフが倒れるのか。10・9HERO'S横浜アリーナ大会は、ライトヘビー級トーナメントも熱くなりそうだ。■

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