山本“KID”徳郁がレスリングに専念し、須藤元気が引退。まさに全員が一丸となって、HERO'Sを盛り上げていかなければならない。そんななか開催される、『OLYMPIA HERO'S 2007 開幕戦 〜名古屋初上陸〜』（3月12日、名古屋市総合体育館レインボーホール）では、所英男が永田克彦と闘うことが決定。元気一杯の所は、いつものようにいい感じで脱力しつつ（笑）、意気込みを語った。


■今回、本当に闘えるのか不安

——今年、HERO'S初の試合となります。心境はいかがでしょうか？
所　昨年は最後の方、いい流れで終われました。今年は、最初の試合をいい形で勝てれば、勢いづくんじゃないかなと思います。
——永田克彦選手との対戦が決定しました。2005年の『Dynamite!!』で流れているカードだけに、組まれたときはどんなお気持ちでしたか？
所　本当に今回、闘えるのかなという不安もありますけどね（苦笑）。また流れて違う選手と…当日になってみないと分からないんですけど。ただ、そのときに僕が闘おうとしていた永田さんと、今の永田さんは全然、違うと思うんです。
——何が違いますか？
所　やっぱり打撃です。1度KOされて苦い思いをしていると思うんで、違いますよね。あと、あの体はやっぱり驚異的ですよ。
——これからはミドル級を主戦場にすると宣言しています。
所　ミドル級ですか…。トップ争いができる選手だと思っています。
——厄介な選手が来たな、という感じですか（笑）。
所　いや、厄介というか日本人で強い選手が多い方が盛り上がると思うんで。永田さんには永田さんの色があって、すごくいいと思います。ミドル級が盛り上げって、いいんじゃないかなと思います。
——体重は一緒なんですが、体格が違うというイメージはありますか。
所　この間の勝村周一朗さんとの試合を見ても、体の厚みが普通じゃなかったんで。凄いっすよね…（苦笑）。でも、そういう人と試合して勝ったら、凄い自信になると思います。危険な相手ではありますけど。


■HERO'Sの永田さんと思っている

——勝算は？
所　レスリングで勝てるはずがないので、打撃か寝技になると思うんです。勝村さんから20発くらいパンチをもらっても、効いた感じがしないので、難しいですよね。勝村さんのパンチより、僕のパンチの方が明らかに軽いんで…。厳しい闘いになると思います。
——今度の試合はチャレンジ？　それとも受けて立つ立場？
所　もちろんチャレンジャーのつもりで。チャレンジャーのつもりというか、チャレンジャーです。
——それはメダリストに対するチャレンジになるのでしょうか。
所　オリンピックメダリストの永田さんよりも、最近はHERO'Sの永田さんとして見ています。でも銀メダリストと試合できるのはすごいことですよね。
——永田選手は、持っているポテンシャルが活かされていると感じますか。
所　ポテンシャルと、成長のスピードが普通じゃないですよね。そういう印象を受けます。
——総合格闘技の階段を1段抜かしで上がってくる感じですか。
所　もっとじゃないですかね。
——キャリア的には所選手が上です。上から見ている感じはないですか。
所　僕は一歩一歩進んで何度か落ちてを繰り返しているんで（笑）。経験はありますけど、レスリングも格闘技なんで、どうなんですかね。僕がやっていた野球の経験もここで活きているとは思っているんですけど…。僕の方がベテランという意識はないです。


■吹っ飛ばされるか押さえ込まれる

——どんな試合になりそうですか？
所　吹っ飛ばされるか、押さえ込まれるかのどっちかだと思います。
——負けじゃないですか（笑）。
所　その中であがいて、自分の動きをして一本取れればなと思っています。
——アメリカのバレット・ヨシダ選手のジムに行ったそうですが、どれくらいの期間だったのでしょうか。
所　1週間くらいですね。寝技の向上が目的でした。
——行ってみての感想は？
所　世界一を争う寝技の選手は違いますね。ものが違いました。相手はレスリングで世界と争っていた選手ですから、そう考えたらイヤですね。
——バレット選手と練習して、感じた手応えは。
所　極められまくって帰ってきました。途中、何度か帰りたいと思ったんですけど、なんとか滞在できました。
——帰りたいというのは？
所　…つらいんで（笑）。厳しかったです。練習だとか言葉だとか、あとは今までやってきたことがまったく通用しなかったのが1番つらかったです。でも、ジムの人やバレット夫妻にはよくしてもらったんで、技術というよりも温かみに触れてきた感じです。すごくよかったです。
——和やかな気持ちで帰ってきたと。
所　そうですね（笑）。
——永田選手と闘った勝村選手の敗因は何だったと分析しますか。
所　単純に軽いからだと思います。あとは、いつもの勝村さんとは違っていたんで…。
——所選手が、勝村選手を一番、知っていると思いますからね。
所　いやぁ、そんなに深くは知らないですけど（笑）。いつもと闘い方が違って、調子が良すぎた感じがします。だからガンガン行っちゃったんで。
——あそこまで打撃で行くイメージではなかったです。
所　かわして闘っていたら、また違ったと思います。
——打撃で行き過ぎたのが敗因？
所　調子が良すぎたのが敗因だと思います。いつもと違ってガンガン行ってしまって、それでも永田さんはすごく冷静でしたから。
——試合が終わったとき、アレッという感じですか？
所　パウンドでちょっと危なかったんで、早く止めてと思いました。あそこまで行ったら負けを認めて、ダメージを少なくしないといけないですからね。


■勝村さんの敗北は悔しい

——同じZSTの仲間として、勝利を願っていたと思います。
所　やっぱり悔しいですけど、勝村さんが一番、悔しいと思うんで…。その辺はあまり言えないですね。赤ちゃんが生まれるというのもあって、どうしても勝ちたい時期だったと思うんです。僕はそれに関してはなにも言えません。
——敵討ちというのは言いたくない？
所　そうですね。それは勝村さんが、一番、やりたいと思いますし。ただ、悔しいのはありますよ。でも、あまりそれで意気込んでいくと空回りしちゃいますけど。
——永田選手はレミギウス・モリカビュチス選手、勝村選手と倒して、ZST潰しに来ています。残るは、エースの所選手だけという感じになってきましたが。
所　2人は65kgに満たない選手です。けど、僕は70kg近くあるんで、同じようにはいかないという気持ちはあります。
——ZSTは守るという感じですか？
所　守るというより、攻めるです。攻めたいです。
——では、いつも通りの闘い方で。
所　もちろん動いて。動かないと相手の隙ができないと思います。
——動けますか？
所　永田選手との試合は、体力勝負、気持ちの勝負になると思うんです。動けなくなっても、動かないと勝てないんで。頑張ります。
——タックルは入れそうですか？
所　タックルして倒したらすごいですけどね。でも、簡単には倒されない気ではいます。ただ、レスリングに関してはレベルが違うんで、総合力で闘います。


■ポカは本当に治らない…（笑）

——今回の試合は、とくに勝たなければいけないなのでしょうか。
所　いろんな意味で僕個人、レミーガや勝村さんの敗戦もあって、地元の愛知というのもありますからね。岐阜出身なんですけど名古屋ということで、今回は勝利に拘りがあります。攻めて勝ちます。
——プレッシャーは感じますか？
所　オリンピックメダリストと闘えるんで、プレッシャーよりも楽しみがありますね。でも、そのなかで勝ちに拘りたいです。
——前田日明SVは所選手がよくポカをするんで気をつけてもらわないと、と言っていました。
所　その辺は本当に…治らないんで。なんとか確実に…頑張ります（笑）。
——ポカというのは、勝てるだろうという相手に負けることを指していると思います。立ち向かうとなると気持ちが違うのですか？
所　リングに上がってみないと分からなかったりはしますけど、いつも同じ気持ちということを心がけてはいます。
——リングに上がるとテンションが違うのですか。
所　やっぱり男の子なんで、リングに上がるといいっすよね（笑）。
——相手によってモチベーションが変わるわけではない。
所　つもりではいるんですけど、多少はあると思います。でも、自分のなかでは同じつもりです。
——今回は？
所　同じつもりで。でも、銀メダリストですからね。
——永田選手は今後もミドル級でやるそうです。10kgの減量なんて、なんてことないと言っていました。
所　もう5kg落として欲しいですね、ついでに（笑）。でも、ここまできたら体重の問題じゃないんで。気持ちの問題ですから。
——最後に今年の目標をお願いします。
所　（ミドル級トーナメントは）3度目の正直で、敗者復活を入れたら4度目ですけど。1回くらい人生でチャンピオンになる日があってもいいんじゃないかなと思うんで…あ、違います。もっと言わないと（笑）。今年はチャンピオンを目指して頑張ります（笑）。
——では、王者のJ.Z.カルバン選手を倒すと。
所　…。そういうことになるんですかね（笑）。そうですよね…。とにかく…、頑張ります!!■