大会まで、あと二日と迫った『SoftBank presents Dynamite!! USA in association with ProElite』(6月2日=現地時間、アメリカ/ロサンゼルス・メモリアル・コロシアム)だが、緊急事態が起こってしまった。なんと、ブロック・レスナーと対戦する予定だったチェ・ホンマンが出場のピンチに。個別インタビューが行われるなか、緊急の記者会見が開かれた。

最初の病院で誤診が…

 記者会見に現れたのは、チェ・ホンマンとマネジャーのパク・ユウヒョン氏、FEGコリア代表のチョン・ヨンス氏、そしてFEGの谷川貞治代表の4名。谷川代表の「ホンマン選手の出場に関しまして、いろいろと報道されていますので、その現状を説明したいと思います」の言葉から始まった。
 そして、チョン氏が経緯を説明していく。
「5月21日、ホンマン選手はメディカルチェックのため、カリフォルニア州アスレチック・コミッション(CSAC)から指定されている病院へ行きました。そこでMRI検査を行ったところ、“頭の中に腫瘍と血塊が見られ、試合をするのは不適格”との診断を受けました。本人も腫瘍があるのは前から知っていたことでしたが、血塊が出来ているというのは新しい事実で驚いたようです。ですが、腫瘍で試合ができないというのは納得がいかないこと。実際、シルムもやってきたし、K-1も3年間、やってきています。MRIの検査で分かっていたことですが、不適格だと言われたことは一度もない。納得がいかないとして、フィルムを持って新しい病院でも検査してもらうことになりました。その結果、腫瘍は試合に不適格ではないことと、血塊も見られないとの診断を受けることになったのです」
 チョン氏の説明では、最初に検査を受けた病院のMRIは、ホンマンの頭部が入らないサイズのものだったが、工夫して撮ったために画像は鮮明ではなかったらしい。新しい病院は、大きいサイズでも順応できるMRIを完備していて、鮮明に撮影ができていたようだ。


二人の医者が誤診を証明

 二度目に検査を受けたのは、5月23日。その翌日、一人目の医者と二人目の医者のどちらが正しいのかを証明するために、二つのフィルムを持って中立の判断を求めた。
 すると、二番目の医者と同じ診断結果に。ちなみに頭にできる腫瘍は、巨人症特有のものだが、大きくなったり、試合で殴られても支障がないと日本と韓国で言われている。問題は血塊だが、二人の医師が見られないと診断した結果がすべてといっていい。
 CSACから“不適切”の通告を受けたホンマンの関係者は、再検討を依頼。だが、その機会すら与えられなかった。



権威のある医師も太鼓判

 そこでホンマンは、カリフォルニア州で最も権威のあるドクターの元へ再度、検査を依頼。全米最先端のMRI検査を受けるため、ロバート・S・ブレイJr医師とコンタクト。名医に検査をしてもらうと、またしても二番目の医者と同じ見解に。そのブレイ医師の同僚の神経外科医も、まったく同じ意見だったという。
 二人の医師は30日、CSACに「ホンマンが試合をするには、まったく支障がない」ことを伝えるが、やはり再検討の機会は与えられなかった。
 韓国では、このニュースが様々な間違った形で流れ、ホンマンも心を痛めている様子。マネジャーのパク氏は、「たった一度の検査で、新しい事実を受け入れてくれないことには納得ができません。まだ二日、残っていますので、アスレチック・コミッションに、ホンマンが試合できるように再考を強く願います」と懇願した。



プライドを傷つけられた気持ち

 ホンマンは「試合まで二日。この状況は、理解ができません。もしも私の体に異常があれば、命が大事ですから、試合に出ませんよ。韓国人として、プライドを傷つけられた気持ちです。最後まで、出してもらえるように頑張ります!」とコメント。
 谷川代表は、「K-1でもメディカルチェックは当然、やっていますし、問題があればデビューもさせていません。アスレチック・コミッションが厳しくやられているのは敬意を表しますが、ホンマンの願いを叶えてほしいですね。ただ現状では、ホンマン選手の出場がダメだと言われています。試合を成立させなくてはいけないので、すべてのメディカルチェックをクリアしているキム・ミンス選手を用意しています。ギリギリまで待ちますが、今のところはキム・ミンス選手が試合をする予定です」と説明した。

ホンマンの代役はキム・ミンスか

 レスナーは、この変更と状況をすでに了承しているようで、試合は無事に行われることになりそうだ。急遽、出場が決まったミンスは、「難しい状況のなかで、もしかしたら私が出場するかもしれません。最後に、ホンマン選手が出るかもしれませんが、私が出場したら彼の分まで頑張りますし、韓国、アジアを代表して試合をしたい」と複雑な心境を語った。すでにコリアンタウンでは、3万枚のチケットが売れているようで、谷川代表は今回の影響を心配する。
 また、ドクター・チェックでチェ・ムベ、アントニオ・シウバ、永田克彦の対戦相手も出られないことが明らかになった。代わりの選手は明日、発表される予定だ。最後の最後まで、何が起こるか分からない『Dynamite!! USA』。はたして、大逆転でホンマンの出場はあるのか。すべては、始まってみないと分からない。■

 

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このままでは試合に出られなくなるホンマン。カリフォルニア州のアスレチック・コミッションは認めてくれるのか
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FEGコリア代表のチョン・ヨンス氏が、現状を報告した
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ホンマンが出られなくなったら、大会としては厳しくなるが、最後の最後まで粘るようだ
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複雑な立場のキム・ミンス。チェ・ホンマンに出てほしいが、自分も試合をしたいといったところか
 ph03 緊迫した雰囲気の中、大勢の報道陣を集めて記者会見が行われた

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