前田SVと谷川代表が大会を総括

 会見にはまず、前田日明HERO'Sスーパーバイザー、谷川貞治FEG代表が登壇。昨日の大会を振り返った。
 前田SVは、ミドル級トーナメント1回戦を振り返り、「宮田君の素質は見る度にすごいなぁと思うんですけど、ヒベイロは相手のリズムを読むのがうまい。所vsブラックマンバは、ブラックマンバのほうが一枚も二枚も上手でしたね。所の完敗だと思います。宇野君は"機を見るに敏"に長けている。ミドル級は混沌としてきました。トーナメントは強敵だらけ。宇野君の双肩に掛かってきましたね」と総括した。
 谷川代表はハレック・グレイシーに敗れた柴田勝頼について、「船木さんとも話したんですが、柴田選手はたくさん試合に出たほうがいいと思います。経験を積んだらドンドン強くなる。今が重要な時期だと思います。大会毎に出てほしいです。9月も出る予定です」と9・17横浜アリーナ大会へ出撃する予定があることを明言。メインの田村vs金については、「緊張感のある試合でしたね。金選手のアスリートとしての凄味も見えたし、田村選手からは"役者"としての凄さを感じました。田村選手も金選手も急なオファーだったので、十分な準備をさせてあげられなかったのは残念です。田村選手、桜庭選手、船木選手、この世代の人たちには、ドラマや雰囲気を作れる、メインを任せられる風格がありますね」と語り、敗れはしたものの田村の個性を評価した。


宇野は「昨日の動きには納得していない」

 続いて、昨日の永田克彦戦に勝利し、9・17横浜アリーナで行われる決勝トーナメントに駒を進めた宇野薫が登壇。宇野は「昨日は固くて、動きに関しては納得していません」と昨夜の闘いを振り返ると、「決勝トーナメントでは今回の反省点を洗い直して練習して挑みたいと思います」と9・17横浜アリーナ大会に向けての抱負を口にした。
 昨日の1回戦で所英男、宮田和幸が敗れ、決勝トーナメントに進出する日本人ファイターは宇野のみ。前田SVも「宇野君の双肩に掛かっている」とコメントしたように、"日本の砦"として宇野に掛かるプレッシャーは大きい。宇野も「どの選手も強いなというのが昨日の感想。永田選手に勝った瞬間、『次も厳しいな……』と思いました。昨年とは違ったプレッシャーを感じています」と語ったが、「ただ、昨日の固くても勝てたというのはいい経験になりました」とプレッシャー打破に手応えを掴んだ様子だった。
 ファン・関係者から優勝候補筆頭と評価されるビトー"シャオリン"ヒベイロについては、「ちゃんと見ていないんですが、最後は彼の得意技である肩固めが極まり、やはり寝技に持ち込むと強いなという印象ですね。(対戦が)決まった時に対策というのは改めて考えますけど、寝技には持ち込まれたくないなと思いました」と、昨夜の宮田戦の感想を述べた。
 谷川代表によると、拳の負傷により1回戦シードとなったJ.Z.カルバンの9月復帰が間に合わない場合は、昨日快勝したアンドレ・ジダが代わりに出場する可能性が高いとのこと。決勝トーナメントの組み合わせについては、「各選手の希望を聞いた上で、テレビ局、前田さんを含め、関係者と相談して決めたいと思います」と説明した。


船木が現役復帰への経緯を説明

 宇野の記念撮影が終わると、続いて会見場には昨日電撃復帰を宣言した船木誠勝が登壇した。
 まずは谷川代表が、船木復帰の経緯について、「船木さんにはHERO'Sの解説をお願いさせていただいていて、解説をやっている時に『船木さん、またやりたくないですか?』と軽いお誘い程度のことはしたことはもちろんあったんですが、私のほうから正式なオファーをしたことは一度もありませんでした。今から半月ほど前に、柴田選手とトレーニングしていて火がついたんだと思うんですけど、『格闘技をもう一度やりたい。試合に出たい』という話をいただきまして、こんなに嬉しいことはないんですが、急な話だったので、詳しい話はこれからです。今の現役バリバリの格闘家も練習で極められちゃうというお話を聞きまして、それなら大丈夫だと。試合の時期については、引退してからの7年間の空白を埋めるためにも、大晦日がいいのではないかと思いました。最高の舞台、相手、場所を頑張って用意したいと思っています。下の世代の人たちにもいい刺激になると思います。総合格闘技のバリバリの現状に立ち向かってほしいです」と説明。
 続いて、船木が「3年前からHERO'Sの解説をさせてもらっていたんですけど、去年、桜庭選手がHERO'Sに来た時、『もう潮時なんじゃないかなぁ……』と思っていたのですが、それでも闘っている姿を見て心が動きました。また、今年、柴田がHERO'Sにデビューすることとなって、現役の選手としてリングを見て、『やらなければいけないんじゃないか?』と思いました。そして『Dynamite!! USA』で田村選手と会って、『(田村は)桜庭選手が欠場した場合の代打で来ました。オファーを受けてすぐに決断した』というのを関係者から聞きました。同世代の選手たちが身を削って頑張っている中、自分だけ解説席から技術論、批評するのはやりきれないなぁ……と思いました。ロスから帰ってきて、柴田と一緒にトレーニングしている時、いろんな道場の選手たちとスパーリングをして、『まだ力が残っているな』と実感しましたので、力があるんであれば、やるしかないな。上がれるリングがあるのであれば、そこで闘うしかないなと思って、谷川さんにお話をしました。昨日、リングに上がって挨拶をしたんですけども、7年前なので自分のことを分からない人もたくさんいると感じた。ただ、リングの中だけは100%選手のものですから。その中でどれだけのものが見せられるかで、その時の時代が掴めるか掴めないかが決まってくると思います。その人間の背負っている生活とか人生、全部、リング上に出ますので、ブランクがあるかもしれませんが、ありのままの自分を出せば、見に来ていただいたお客さんに損をさせない自信はあります。現役の選手が『なんであんな歳を取ったヤツがまだやっているんだ!?』と牙を向いてきてくれたら、いい活性化にもなるでしょう。あと、アメリカに取られた日本の総合格闘技のいい部分を、もう一回作り直せると思います。2、3年かかるかもしれないですけども、新しい選手はたくさんいますので、不可能ではありません。今日から大晦日に向けて、100%選手としての生活に入りたいと思います」と決断に至った経緯、心境を明かした。


「田村や桜庭? マッチメイクされたらぜひ!」

 谷川代表、船木の挨拶が終わると質疑応答へ。
 今後の練習スケジュールについて質問が飛ぶと、船木は引退後から続けてきたタレント業を休止し、「合宿などは張らずに、日常の中で練習していきます。柴田の調整に付き合って疲れが残っているので今週は休んで、徐々に練習を再開したいと思います」と説明した。なお、柴田へのコーチングは継続して続け、柴田には「一緒に強くなっていこう」と語ったという。
 現在の体重は86kg。ライトヘビー級で闘う意向を示すと、報道陣の興味は「誰と闘いたいか?」へ。田村潔司、桜庭和志という名前が出ると、「マッチメイクされたらぜひ!」と同世代対決も辞さない構え。引退前最後の相手となったヒクソン・グレイシーについても、「向こうがよければ、やりたいですね」と意欲を見せた。
「一度引退したから、二度目の引退はないんですよ。使っていただける限りはやっていきたい。『見たい』という声がある限り、リングに上がり続けます。『コロシアム2000』で一緒に泣いたファン、そしてボクのことを知らないファン、12月31日、一回見てもらいたいと思います」。UWF、パンクラスで一時代を築いた男が電撃復帰。大晦日の相手は誰になるのか? 今後の船木誠勝の一挙手一投足に注目だ!!■


»『OLYMPIA HERO'S 2007 ~ミドル級世界王者決定トーナメント開幕戦~』大会結果

UWF、パンクラスで一時代を築いた船木誠勝が、遂に現役復帰!!

photo
前田SVの「宇野君の双肩に掛かっている」というコメントを報道陣から伝え聞くと、宇野は思わずこの笑顔

photo
前田SVからアドバイスをもらう宇野。関係者からの期待も大きい

photo
谷川代表と船木が復帰への経緯を説明
 photo
「倒しにいく気持ちを見せたい。期待もされていないから、思いっきり叩きのめしにいきたい」と語った船木
 photo
船木のUWF時代の先輩である前田も「技術、経験を再構築して、新しいものを見せてほしい。思い入れのある選手なので、できる限りのことはしたい」と全面バックアップを約束した

Copyright (C) 2007 HERO-S Mail to:
Copyright (C) 2007 G.T.Entertainment, Inc. All Rights Reserved.
当サイトで使用している写真およびテキストの無断転載を禁止します。