前田SVが大会を総括

 会見にはまず前田SVが登壇。前田SVは昨日の大会を振り返り、ミドル級決勝トーナメントに関し、「昨日はとにかくブラジル勢のレベルの高さを痛感しました。シャオリン戦でのカルバンの動きは、山本君の動きとは対照的で、世界王者レベルの柔術家が組み付きに来たところをうまく突き放してパンチを打ちにいった。そのような練習はしていると思うんですけど、感心しましたね。宇野vsジダは、宇野君はちょっと慎重に行き過ぎたかなという印象を受けました。立ち位置とか間合いで相手を封じるのもいいんですけど、相手にパンチを出させるような、誘って攪乱するという方法で行ってもよかったのかなぁと。ただ、可哀相なのは直前で相手が変わってしまったこと。もうちょっと対策を立てられたら、また違ったのかなと思います。もう一度、見てみたいです。決勝のカルバンvsジダは、カルバンのキャリアがジダを押さえ込みましたね。場面場面を的確に判断する能力は、今回はカルバンが上だったなと。ただ、ジダは将来的にはチャンピオンになるものを持っている選手だと思います。こういうブラジル人選手を相手にする宇野君、宮田君、所には、もっとパワーが欲しいなと痛感しました」と総括。

 「ミノワ君については、スパー不足を露呈したのかなと思います。ヒクソンたちの押し込んでいく戦法に対して、ちょっと準備ができていなかった。最後のフックは良かったけど、練習環境を考えて次に繋げてほしいですね。山本は、カルバンと同様、一発のある選手。カルバンは(シャオリンを相手に)突き放して打ちにいったけど、山本君はアマレスに挑戦していたこともあり、そこの部分での練習が足りていなかったかなと感じました。ハリトーノフに関しては、オランダで打撃の練習はしていますけど、コンビネーションがまだまだ。あと、試合から遠ざかっていたせいか動きが硬かったですね。桜庭はもらわなくてもいい攻撃を受けすぎた感じがしました。今後のキャリアに向け、ヒクソン戦や船木戦もありますので、気を付けてほしい」と各試合についての感想を述べた。


ミノワマン「暖かさを感じて、やりやすかった」

 続いて、見事ミドル級トーナメント二連覇を達成したJ.Z.カルバン、そしてそれぞれ昨日の大会でTKO勝利を収めたセルゲイ・ハリトーノフ、ミノワマンが登壇した。

 昨日、ヒクソン・グレイシーの愛弟子である、ケビン・ケーシーにTKO勝ちしたミノワマンは、「HERO'Sファン、そして私のファンの暖かさを感じて、やりやすかったです」とHERO'S初参戦の感想を述べたが、試合に関しては「思ったよりなかなかスイッチが入らなくて、もっと早く入れるようにしないといけないなと思いました。反省点の多い試合でした」と反省の弁。

 しかし、昨日は劣勢をはね除けての逆転TKO。大晦日『Dynamite!!』への参戦にも期待が掛かる。これについてミノワマンは、「大晦日前までにまだ試合をしたいので、まずはそれに集中したいです」と前置きしつつ、「やりたい選手? ファンや周りの方が『このカードが見たい!』という選手なら誰でもいいです」と『Dynamite!!』参戦に前向きな姿勢を見せた。


カルバン「五味とも試合をしたいと思う」

 また、シャオリン、ジダを破りミドル級王者となったカルバンは、昨年の、そして今年の、2つのチャンピオンベルトを持って登場。

 報道陣に向かって「2つのベルトを持って会えることができて嬉しく思うよ」と笑顔を見せると、「スネのできものを取る手術を行って、万全な調子ではなかった。その不安を取り除くためにトレーニングを一生懸命にやった結果、その努力を神様が見てくれていたんだろう。ファンからのサポートを受けたのも力になった。これからもファンの期待に応えていきたいと思うよ」と優勝の喜びを語った。

 今後の目標に関しては、「まずは闘い続けること。この階級で世界のトップ10に入る選手と闘っていきたい。彼らに勝ち続けることによってNO.1になっていくんだと思う。FEGにはベストな相手を選んでくれることを願っているよ」とコメント。

 そしてなんと、具体的な「ベストな相手」として、「日本にも素晴らしい選手がいるよね。例えば、今回ミノワマンがHERO'Sにチャレンジしたように、まだまだPRIDEで活躍した選手がHERO'Sにやってくるんじゃないかな? 五味とも試合をしたいと思う」と、PRIDEライト級王者・五味隆典の名前を挙げたのだ!

 報道陣から五味の印象について聞かれると、「素晴らしい選手だと思う。あの階級ではNO.1の一人だと思う。アメリカン・トップチームの仲間も闘っているし、五味のことを興味を持って見ていた。面白い試合をする選手だと思う」と目を輝かせた。このカルバンの発言を隣で聞いていた前田SVも「カルバンvs五味は見てみたいですね。カルバンの頭脳戦、五味君のハードパンチ。五味君がどう成長しているか見てみたい」と後押し。

 HERO'S王者vsPRIDE王者──このドリームマッチは実現するのか!?


ハリトーノフ「ヒョードルを倒すために全力を尽くす!」

 そして、昨日、HERO'S初参戦でアリスター・オーフレイムからTKO勝ちを収めたハリトーノフも仰天発言。「昨日勝ったことには満足しています。しかし、この勝利は王者への道の第一歩。それには、この世界のランキング1位の男に勝たなければいけない。ヒョードル。彼を倒すために全力を尽くす!」と、PRIDEヘビー級王者・エメリヤーエンコ・ヒョードルとの試合を熱望したのだ。

 この発言に対し前田SVは「ハリトーノフvsヒョードルというのも見てみたいですね。2人も(ヴォルク・)ハンが育てた選手。長所短所を知り尽くしたもの同士。この同タイプ、同門対決は見たい」と対戦実現に期待を寄せた。


谷川代表「HERO'Sに新しい流れが出てきました」

 記者会見終了後、囲み取材に応じた谷川貞治FEG代表は、カルバン、ハリトーノフ、それぞれの対戦表明に対し「素晴らしいことだと思います。HERO'Sに新しい流れが出てきましたよね。カルバンは素晴らしいセンスをしていますね。最初から『五味』という名前を出さなかったのは、『チャンピオンなんだから自分から挑戦する姿勢は見せない』ってことなんでしょう。要は、『五味、出てこい』ってところなんでしょうね。ハリトーノフがヒョードル戦を望んでいることは聞いていました。ヒョードルという目標を上げるのは、『頭がいいなぁ』と思いましたね。流れが分かっているというか。ヒョードルサイドがどう考えているか分かりませんが、日本でやりたいという気持ちはあると思います」と感想を語った。

 さらに谷川代表は「せっかく日本には、プロレス→UWF→PRIDEが作ってきた何十年の歴史があります。昨日みたいな試合を組んでいって、PRIDEを見ていた人の行き場所を作っていかなければいけないと思っています。物凄く盛り上げて、もう一度、熱を取り戻したいと思います!」ともコメントし、HERO'Sのさらなる盛り上がりを約束した。■

 

»『OLYMPIA HERO'S 2007 ~ミドル級世界王者決定トーナメント決勝戦~』大会結果


HERO'Sミドル級トーナメント二連覇を達成したJ.Z.カルバンが、次なる標的としてPRIDEライト級王者の五味隆典の名を挙げた


一夜明け会見には、前田日明HERO'Sスーパーバイザー、J.Z.カルバン、ミノワマン、セルゲイ・ハリトーノフが出席


昨日のファイトに対し、ミノワマンは「思ったよりなかなかスイッチが入らなくて、もっと早く入れるようにしないといけないなと思いました」と反省しきり
カルバンは「闘い続けること。この階級で世界のトップ10に入る選手と闘っていきたい」と今後の目標について語った
ハリトーノフはPRIDEヘビー級王者エメリヤーエンコ・ヒョードルとの対戦を熱望
カルバン、ヒョードルの対戦表明について、「素晴らしいことだと思います」と谷川代表。また、この日は、昨日21時よりTBS系列で放送されたHERO'S中継の視聴率が明らかになった。視聴率は12.5%、瞬間最高は21:59〜22:00(KIDvsビビアーノ戦の1R終了時)の18.4%だった。


Copyright (C) 2007 HERO-S Mail to:
Copyright (C) 2007 G.T.Entertainment, Inc. All Rights Reserved.
当サイトで使用している写真およびテキストの無断転載を禁止します。