障害をすべてはね除けて優勝できた

──HERO'Sミドル級世界王者決定トーナメント二連覇達成、おめでとうございます!
J.Z. センキュー!
──今の心境から教えていただけますか?
J.Z. 嬉しいね。今回も一生懸命にトレーニングしてきて、その結果、優勝できたことは非常に嬉しい。一夜明け会見でも言ったけど、今回の大会前に少し怪我をした状態で試合に臨んだので完全なコンディションではなかったんだ。優勝を妨げるような要素が多々あったんだけど、その妨げに気を取られて試合に集中できないということがないよう、目標を達成することだけに集中して頑張ってトレーニングしてきた。その結果、障害をすべてはね除けて優勝できたということはとても嬉しいね。
──どこを怪我していたのか教えてもらえますか?
J.Z. 肩とヒザは練習中に痛めてしまって、スネには"できもの"ができてしまったんだ。その"できもの"は膿んでしまって手術で取ったんだよ、ほら(裾をめくりスネを見せる)。
──あちゃ〜〜〜! ジュクジュクに膿んでいて、まだ治っていないじゃないですか!!
J.Z. 何かの菌が入ってしまったんだろうね。日本を発つ2日前に取ったんだよ。
──肩、ヒザ、スネでは、やはりそのスネが一番の障害だったんですか?
J.Z. いや、一番ひどかったのはヒザの怪我だね。試合の1週間くらい前のトレーニング中に痛めてしまったんだよ。
──そういう怪我ある中での優勝。今、手元に2つのベルトがあるわけですが、どちらのほうが気に入っていますか?
J.Z. えぇっ?(笑)。そりゃあ両方とも気に入っているよ(笑)。
──いつもオシャレな出で立ちのカルバン選手のこと。洋服を選ぶように選べませんか?(笑)。
J.Z. う〜ん、そうだねぇ……。ちょっとクラッシュでゴージャスな感じにしたい気分だったら今年のゴールドのベルトのほうがいいけど、スポーティでカジュアルな感じにしたいんだったらシルバーのほうがいいかな(笑)。違うタイプのデザインだから、どちらか一つには決められないね。
──去年と今年ではどっちのトーナメントが厳しかったですか?
J.Z. 両方とも比べものにならないくらいハードなトーナメントだった。トーナメントに限らず、どの試合も厳しいもんだよ。イージーファイトだと思った試合がハードになったり、またその逆もある。だから、日頃からどんな状況になっても対応できるように練習しておくことが重要だと思う。
──優勝をどなたかに報告しましたか?
J.Z. 母に報告したよ。でも、オレが電話をした時にはもう、テレビ局で働いているオレの友人から報告を受けていて、「良かったね!」ととても喜んでいたよ。それまではあまり実感はなかったんだけど、家族が喜んでくれる声を聞いた時に初めて「あぁ、オレって優勝したんだなぁ」って実感したんだ。
──しばらくブラジルのご家族の元に帰ったりはしないんですか?
J.Z. 一旦アメリカに寄ってからブラジルに帰る予定だよ。
──では、ブラジルで家族と一緒に優勝の喜びを分かち合うと。
J.Z. そうだね(笑)。家族に会うとホッとするんだ。家族の喜ぶ顔や気持ちを受け取ることによって、自分が達成したことを改めて実感できるからね。父や母の喜ぶ顔を見るのが今から楽しみだよ。
──左腕の"家族愛"というタトゥーを見ても分かるように、家族との絆を大事にするカルバン選手。カルバン選手は親孝行についてどのように考えてらっしゃいますか?
J.Z. うん、決して大きなことを成し遂げることだけが親孝行ではないと思うんだ。例えば、去年のことなんだけど、ブラジルの実家が引っ越しをした時に、オレもブラジルに帰ってちゃんと引っ越しのお手伝いをするとか。あと、妹の学業に関していろんな面でサポートしてあげたりとか。今まで親がやっていたことを親に変わってした時に、「あぁ、親孝行したなぁ」と実感する。親孝行とはそういうことだと思うよ。
──今回、ベルトを取ったことは親孝行にはなりませんか?
J.Z. これがちょっと違うんだ。ベルトを取ったことで親が喜んでくれるのは嬉しいけど、このベルトはオレ一人の力で取ったものではなく、家族やチーム、そしてサポートしてくれるファンと一緒に勝ち取ったものなんだ。家族と協力し合って成し遂げたことだから、これは親孝行って言うのかな?(笑)。
──十分、親孝行だと思いますよ。いつか日本で試合をする時にご家族を連れてくるというプランはないんですか?
J.Z. オレが若い頃、ブラジルで柔道やサブミッションの大会に出ると、家族は必ず見に来てくれていたんだ。でも、今は家族とは離れて暮らしているし、プロになってからの総合の試合というのは家族は見ていない。だから、ぜひ日本でのオレのファイトを見てもらいたいね。母はいつも「試合が見たい!」と言っているので、それを実現させてあげたいという気持ちは強いよ。


五味戦? ファンが見たいのであれば検討するよ

──ちょっと試合を振り返っていただきたいと思います。まずは、準決勝のビトー"シャオリン"ヒベイロ戦からお願いします。
J.Z. 特に作戦は立てていなかったね。トレーニングの中でどんな状況でも闘えるように練習してきたんだ。なぜなら、その後の決勝には、宇野が上がってくるのかジダが上がってくるのかは分からないから。一人は寝技が強くて、一人はスタンドでの打撃が強い。そしてもう一人はオールラウンダー。だから、誰か一人に集中して練習するべきではないと判断して、どの選手と闘ってもいいように練習してきたんだ。その中で、あんな形でチャンスが訪れて、そのチャンスをうまく活かすことができたんだ。
──闘ってみたシャオリン選手の印象はいかがですか?
J.Z. 試合前も試合後も、彼の印象は変わらないよ。非常に素晴らしい選手で、この階級ではトップ10に入るようなレベルのファイターだ。柔術のテクニックも素晴らしいものを持っている。オレとの試合に関しては、たまたま自分のほうにチャンスが巡ってきただけ。オレにチャンスが訪れたということは、シャオリンが試合の中でミスを犯したということなんだけど、でもそれだけのことであって、今も昔もシャオリンの印象については変わらないよ。
──決勝戦で闘ったアンドレ・ジダ選手についてはどうですか?
J.Z. ジダはまだ若いし、最近活躍し始めた選手なので、すごくハングリーな選手だという印象がある。宇野との試合は見ていなかったのでどういう試合だったかは分からなかったけど、いい試合をしたというのは聞いていた。かなりアグレッシブに攻めてくるというのは分かっていたので、自分のペースで闘うってことを心がけていたんだ。途中、鋭い右フックをもらって慌てたところはあったけど、なんとか持ちこたえて、その後、自分のペースに持ち込んで闘えることができた。
──将来の可能性という部分を感じましたか?
J.Z. ジダに限らず、一生懸命に練習していて向上心がある選手ならば、どの選手も今のオレと対等に闘える選手になると思う。ジダに関しては、すでに素晴らしいものを持っている選手だ。スタンドの技術も素晴らしく、アグレッシブさもある。あとは日々、一生懸命に練習し続ければ間違いなくいいファイターとなるだろう。ただし、オレもハードトレーニングをし続けるし、今後も間違いなく強くなっていくと思うよ。
──次の試合は年末の『Dynamite!!』あたりを考えていますか?
J.Z. 大晦日には出られるといいね。
──一夜明け会見でPRIDEライト級王者の五味隆典選手の名前を挙げてましたが?
J.Z. 素晴らしい選手だし、興味のある選手の一人だね。あの階級で強いファイターといえば必ず名前が挙がるし、パワーがあってKOをたくさん量産している素晴らしいファイターだと思う。アメリカン・トップチームの仲間であるマルコ(マーカス・アウレリオ)が2度、五味と闘っているんだけど、その2回目の試合の時に、五味対策としてマルコのトレーニングに協力したこともあるんだ。
──対戦相手として興味があると?
J.Z. 最終的に決めるのはFEGだけど、ファンが見たいのであれば検討するよ。やるって決まれば、いい試合になるのは間違いないね!
──実現すればビッグマッチになりますね。では、最後にHERO'Sファンへメッセージをお願いします。
J.Z. 今回は凄く難しいトーナメントでした。でも、障害を乗り越えてオレはチャンピオンになることができた。なぜチャンピオンになれたのか? 障害に気を取られることなく、自分の達成しなければいけないゴールを目標に頑張って練習してきたからこそ優勝できたんだと思う。そこで改めて感じたのは、達成できないゴールはないということ。このサイトを見ているファンのみんなにも言いたい。達成しなければいけないものがある時、それが困難であればあるほど、当然その過程で大変なことがある。でも、諦めずに「達成しよう!」という気持ちが強くあれば、絶対にそれは手にはいると思うんだ。オレはこれからも来年もその先もずっと闘い続ける。できる限りいい試合をしようと思っているので、これからも応援してくれよな!■

 

»『OLYMPIA HERO'S 2007 ~ミドル級世界王者決定トーナメント決勝戦~』大会結果

HERO'Sミドル級トーナメント二連覇を達成したJ.Z.カルバン。ミドル級最強の男だ!


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左腕の"家族愛"というタトゥーが示すとおり、家族想いのカルバン。いずれはお母さんに日本でのファイトを見てもらいたいという

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準決勝のシャオリン戦。シャオリンを突き倒すと、強烈なパウンドでKO! 驚きの秒殺決着だった

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決勝のジダ戦。ジダの打撃を見切るとタックルからテイクダウン。最後は腕ひしぎ十字固めで仕留めた
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閉幕式での一コマ。圧倒的な強さを見せての優勝に笑顔がこぼれる
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興味のある選手として、PRIDEライト級王者の五味隆典の名前を挙げたカルバン。HERO'Sミドル級王者の今後に注目だ!!

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