謎の野球トレーニング

 秋晴れとなった17日午前、Tシャツにショートパンツ姿、右手にグローブ、左手には金属バットを持ったミノワマンが、我々取材班の前に姿を現した。「おはようございます」と挨拶も早々に、早速ミノワマンは練習を開始。まずはランニングで汗を流した。多摩川上に架かる某橋を颯爽と張り抜けると、時折思い出したかのようにダッシュ。そして土手沿いの道に入るや、突然土手を上り下りするなどトリッキーなムーブを披露した。
 ランニングを終えたミノワマンはストレッチで体をほぐすと、今度は傍らに置いておいた金属バットを手に取り素振りを開始。バットを握ると一回一回フォームを入念にチェックしつつブンブンとスイング! スイング! スイング! 片手打ち、両手打ちをそれぞれ左右のバッティングフォームで展開すると、次は持参したバッグからグローブを取り出し、取材班の一人をつかまえキャッチボールをスタートだ。約30メートルほど距離をあけると、相手の胸元目掛けスローイング。投球フォームを逐一確認することを忘れず、時間にして30分ほどキャッチボールを続けた。そして今度は、橋脚に場所を移すと、橋脚のコンクリート塀に四角く白ペイントで描かれたストライクゾーンを目掛け、ひたすらボールの投げ込みを敢行。ストライクが続くと「よし!」と小さく頷くミノワマン。ラスト5球のすべてをビシッとストライクで締めると、特訓を終了した。この日の投球数は、キャッチボール&橋脚での投げ込みと合わせ150球以上。時間にして1時間半の濃密野球トレは終了した。
 果たして、この野球トレの真意とはなんなのか? そして、キム・ミンスとの階級を超えた一戦を前に、ミノワマンは今、何を思うのか? 特訓終了後のミノワマンを直撃した。


プロは球速150km/h。まだまだですね……

──いよいよ大会まで10日。コンディションはいかがですか?
ミノワマン 調子は、テーマである「時流」に任せています。このままテーマどおりに行こうと思います。
──時流に逆らったことはやっていないと?
ミノワマン つい、逆らったことをやろうとしちゃうんですけど、とにかく「時流のままに」です。
──今日は河川敷での特訓でした。
ミノワマン 室内の道場に比べると広いので、走ったり体操する時、大きく動けていいんです。自然が多いのもいいですね。
──野球の練習をやるようになったきっかけというのは?
ミノワマン 常にやっているわけではないのですが、2〜3年前から始めました。仲のいい野球経験者の友達とキャッチボールをしたところ、自分の中にいろいろとヒントを得て、練習の中に取り入れるようになりました。
──スピードガンで球速を計測させていただいたんですが、最高は71km/hでした。
ミノワマン プロの選手は150km/hの球を投げますからね。しかも硬式で。まだまだですね……。
──投球練習の中で何を一番重要視しているんですか?
ミノワマン 全部が大事なんですけど、フォームと力を抜いて投げること。あと、コントロールですね。相手の胸元にキッチリ投げることです。
──では、球速はあまり重要ではないのでしょうか?
ミノワマン もちろん、いずれはスピードも付けていきたいと思っています。やっぱり力の抜き加減とか入れ方、体の使い方によってスピードはちゃんと変わりますからね。でも、まずはコントロールを大事にしています。
──そもそも、この野球練習には具体的にどういった意味があるのでしょうか……?
ミノワマン それはちょっと言えないですね。特訓の内容を見せることはできても、何の目的があってとは言えないです。まあ、自分の足りない部分を埋めるにはこの練習が必要、ということですね。


韓国ではスーパーヒール。日本ではスーパーヒーロー

──対戦相手がキム・ミンス選手に決定しました。ミンス選手の印象を教えてください。
ミノワマン 力強い感じがしますね。力で一気に攻め込むって感じです。
──ミノワマン選手も高校時代に柔道をやられていますが、相手はアトランタ五輪柔道銀メダリストです。
ミノワマン 自分は地区大会で2回戦負けとかしていた落ちこぼれでしたからね。エリートとして柔道をやってきた人間とプロレスのために柔道をやった人間の合流地点。そこの闘いですね。
──ミンス選手の攻撃で気を付けなければいけないなと思うのは何でしょう?
ミノワマン 韓国人選手特有の力強さと、立った時の投げ技ですね。あとは、抑え込み。柔道の選手は抑え込みが半端じゃなく強いので、そこには気を付けたいなと思います。
──無差別級対決となりますが、どんな試合を見せたいですか?
ミノワマン 自分らしい試合をしたいですね。相手は大きくても小さくてもいいんです。皆さんは体重差とかをよく言いますが、「相手が大きくても小さくても、あまり関係ない」というのを伝えたいですね。
──ミンス選手は“韓国の英雄”という異名を持つ選手です。今度の韓国大会ではミノワマン選手はヒールとして見られると思うのですが?
ミノワマン ヒールだと思いますね。ですが、ヒールはヒールでヒールをやりたいです。韓国ではスーパーヒールです。日本ではスーパーヒーローとして観られる形になると思います。
──ミンス選手は母国での試合ということで、韓国の誇りを胸に、いつもより強い気持ちで闘うと思います。対するミノワマン選手は、どんな誇りを持って立ち向かいますか?
ミノワマン 自分の信念を曲げずに、そのまますべてをぶつけようと思っています。
──ミノワマン選手の信念とは?
ミノワマン 「オレはリアル・プロレスラーだ」という信念です。“リアル・プロレスラー”とは、自分の理想とする、想像するプロレスラーを自分自身が描いて、それをリング上でお見せするファイターです。
──キム・ミンス選手を『キン肉マン』のキャラで例えるなら何でしょう?
ミノワマン ……ザ・魔雲天ですね。マウンテン・ドロップには気を付けます。
──勝つ自信はありますか?
ミノワマン 勝つ自信がなかったらやらないです。時流に乗って、当日はいいコンディションでいいものをぶつけたいと思います。■

 

»『OLYMPIA HERO'S KOREA 2007』韓国大会概要
»ミノワマン:プロフィール

10・28韓国大会でキム・ミンスとの対戦が決定したミノワマン。キメポーズを依頼すると、バットでエアギターを披露してくれた


グローブと金属バットを手に姿を現したミノワマン


まずはランニングからスタート


一回一回入念にフォームをチェックしながら素振りを開始
素振りをしていたかと思うと、突然素早い動きでバントの構えに!
大きく振りかぶって……
「よし!」。ストライクが決まった!!
特訓終了後、インタビューに応えてくれたミノワマン。ミンスとの無差別級マッチを制すことはできるか!?

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