■ニコラス・ペタスがサップを強力サポート！

　K-1で活躍するニコラス・ペタスや総合格闘家・小路晃らが主宰する世田谷区・中町の格闘技ジム、AE FACTORYにて行なわれたボブ・サップの公開練習。ペタスによると、サップは現在このジムで毎日午前中2時間、午後2時間のハードな集中トレーニングを行なっているという。「もう、毎日俺が迎えに行っていますから、遅刻も欠席もない（笑）。俺の練習メニューに完全に付き合わせていますので、今回の試合は間違いないと思います」と言うように、ペタス自らが鬼コーチと化し、マンツーマンでビースト完全復活のサポートをしている。環境面でも「スタンドは俺、グラウンドは小路が、そしてフィジカル面は俺やジョシュ・バーネットが信頼を寄せるマーク・ギンサーが教えています」（ペタス）と、サップにとってはこれ以上ない布陣での調整が行なわれているようだ。
　この日の公開練習では、オープンフィンガーグローブを着用するなりバーベル用のプレートやメディシンボールを利用しての筋力トレーニング、スクワット、シャドーを組み合わせたサーキットメニューをこなし、その後入念なストレッチ（この時点ですでにサップは汗だく状態）。そして小路を相手にテイクダウンからのパウンドやサブミッションの反復練習、スタンドのみの実戦スパーを黙々とこなすサップ。ここまでがリング上での練習で、さらに休む間もなく、今度はサンドバックへと移動。ペタスの号令のもと、左右のローキックやワンツー、サンドバックを抱えてのヒザ蹴り特訓が何度も何度も繰り返し行なわれた。久々に目にする“本気モード”のサップの打撃。とりわけローキックは何度もサンドバックを引きちぎらんばかりに揺らした。だが、これではまだまだ練習は終わらない。ふたたびリングへと戻ると、ペタスを相手にミット打ち。「オーケー！　オーケー！」とミットを持つペタスもサップの仕上がり具合に十分な手応えを感じている様子。だが、なによりこのハードトレーニングに息を切らすことなくついていくサップの姿が現在の猛特訓の成果を物語っている。

■なんとボビーの弟・アンディが偵察に！

　このミット打ちが終わりにさしかかろうとしていたその時、突如ペタスがリング下で取材を行なっていたマスコミ陣のほうに向かって「おい！　お前、なにしてるんだ!!」と怒声をあげる。サップも思わず視線をその方向に移すやいなや「アンディ!!　アンディ!!」とわめき散らす。なんと、サップの視線の先には、マスコミ陣に交じってキャップを目深に被ってビデオカメラを回すアンディ・オロゴンがいたのだった！　そう、アンディは兄ボビーのためにサップの練習風景を偵察に来ていたのだった。ペタスが「出て行け!!」と怒鳴るも、時すでに遅し。「やっべ〜。いっぱいいい画が録れたんでこれで失礼しま〜す」とニヤケながらジムをあとにするアンディであった……。

■怒りのサップ「殴って殴って殴り倒す！」

　公開練習終了後、囲み取材に応じたサップは、「ボビー・オロゴンは俺との試合を受けた時点で“男”だと思っていた。なのに、スパイを送り込んでくるなんてやり方が男らしくないヤツだ。カチンときたぜ！　かならずKOしてやる！」と怒り心頭。だが、日本のファンにどんな試合を観せたいか、と聞かれると落ち着いた口ぶりで「久々にいい試合を観せたい。前回の敗戦からビーストが何を学んだかを観てほしい。たぶんボビーは俺のスタミナが切れるのを待つためにリング内を回り続けるんだろうが、俺はいまハードな練習でスタミナ強化に余念がない。スタンドでもグラウンドでも殴って殴って殴り倒してやる」と　調整の好調ぶりを窺わせるコメントをした。
　現在の体重は167kg前後だそうで、試合当日までにもう少し絞る予定とのこと。「リアルファイトだからといって、ボビーを殺す気はないが、アッと驚くアクシデントが起こるかもしれないな。ガハハハハ！」と豪快に笑い飛ばすサップ。「これからもFEGのリングに上がり続けたい。そのために大晦日は豪快に勝ってみせる。5分以内……、いや1分以内に倒してやる！」と秒殺宣言まで飛び出し、自信満々のサップ。
　今年6月、K-1オランダ大会でのピーター・アーツ戦でまったくいいところなく秒殺負けを喫し、自ら失墜させてしまったファイターとしての威信を、この大晦日、己の拳で取り戻す。ビースト復活へ、今年の借りは今年のうちに……だ!!■

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»プロフィール：ボブ・サップ